1 本と読書の世界が変わりはじめた
いま、というのは二十一世紀の最初の十年がたった現在という意味ですが、そのいま、私たちにしたしい本と読書の世界が大きく変わろうとしている。 そのことを前提としてみとめた上で、この変化を「本の電子化やインターネット化に乗りおくれるな、急げ急げ」というようなあわただしい観点からではなく、五千年をこえる歴史をもつ書物史の大きな流れのなかで、できるだけ気長に考えてみたい。...
View Article2「本の黄金時代」としての二十世紀
そこで、まず「本の黄金時代」について。私たちの多くがそこで生きていた二十世紀の百年が、あとにも先にも例のない本の力(能力でも権力でもあるような)の最盛期だったというのは、具体的に、どんなことを意味しているのか。...
View Article3「読者ににじり寄る」ことと「自分を大切に思う」こと
しかし残念ながら話はそこでは終わりません。つまり、われわれの「本の黄金時代」はたんにピカピカ光り輝いていただけでなかった。じつはその背後に、暗い、ちょっと情けないみたいな一面をも併せもっていたということです。...
View Article4 若者が本を読まなくなった
それでも、いざそう考えてふり返って見ると、森、アドルノ、藤田といった人たちの批判もふくめて、急激な成長がみずからの終りを準備し、この黄金時代はいずれ崩れるしかないんじゃないかという予感が、一九五〇年前後から、けっこう多くの人のうちに生じはじめていたらしいことがわかってくる。...
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いま、というのは二十一世紀の最初の十年がたった現在という意味ですが、そのいま、私たちにしたしい本と読書の世界が大きく変わろうとしている。 そのことを前提としてみとめた上で、この変化を「本の電子化やインターネット化に乗りおくれるな、急げ急げ」というようなあわただしい観点からではなく、五千年をこえる歴史をもつ書物史の大きな流れのなかで、できるだけ気長に考えてみたい。...
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そこで、まず「本の黄金時代」について。私たちの多くがそこで生きていた二十世紀の百年が、あとにも先にも例のない本の力(能力でも権力でもあるような)の最盛期だったというのは、具体的に、どんなことを意味しているのか。...
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しかし残念ながら話はそこでは終わりません。つまり、われわれの「本の黄金時代」はたんにピカピカ光り輝いていただけでなかった。じつはその背後に、暗い、ちょっと情けないみたいな一面をも併せもっていたということです。...
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それでも、いざそう考えてふり返って見ると、森、アドルノ、藤田といった人たちの批判もふくめて、急激な成長がみずからの終りを準備し、この黄金時代はいずれ崩れるしかないんじゃないかという予感が、一九五〇年前後から、けっこう多くの人のうちに生じはじめていたらしいことがわかってくる。...
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